失恋27日目

今日は少しだけこれまでと違う気持ちになっていた.

昨日,会社のひとりが2週間前に婚約したと聞いたのである.

忙しくなったといいつつ嬉しそうな姿を見て,うまくいく関係というのはきっと3ヶ月前のわたしのような気持ちになったりしないのだろうと何かを悟ったのだった.

 

加えて,自分の根底にある問題(愛着障害,境界性パーソナリティ障害またはそれに近いものがあると今回の件で気づいた)について調べる,読む,見るなどを始め,少しだけ,相手から気が逸れる時間が増えたのもあるかもしれないと思っている.

 

しかしやはりふとした時に後悔が浮かんでくることもあり,少しだけ涙する時間もまだある.

 

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(前回の続き)

4月のその事件が起きてからというもの,私が負の感情に取り込まれているときに電話などをすると,相手にも負の感情が伝染してしまい結局どちらも動揺の渦に飲み込まれてしまうようになった.

相手は人に話して発散するタイプではないようで,わたしに泣いて電話してきたことはなかったのに.

いつも相手は自分が落ち着いて考えられる時間を選んで長文で励ましや優しい言葉をかけてくれていたし,欠かさず「おはよう,今日はどう?」と聞いてくれていたのに.

 

更に追い打ちをかけるようにコロナ状況が悪化した4月後半から5月前半,相手家族が誰かが出かけることに不安(以上に恐怖)を感じるようになったそうで,さらに会うチャンスは減っていった.

今週は何が何でも会いに行く,という言葉も虚しく散っていった.

 

少し状況が落ち着き,相手がバイクを整備し自由を手に入れると,私の会いたい病がまた顔を出し始めた.

近くにいたのに会えなかった寂しさと,数週間先には都市Aに戻ってしまう寂しさが掛合わさって不安で仕方なくなった.

会えるうちにたくさん会いたかった想いが悪い方に作用して,雨が降ってバイクに乗れない,すごく疲れて寝ていたなど,会う予定だった日に会えないことが物凄くストレスになった.

泣いたり怒ったり,感情を子供のように思ったままにぶつけるようになってしまっていた.

それでも相手は必ず朝には,ごめん,おはよう,今日がいい日になりますように,といったメッセージを送ってくれていた.

もともとメッセージ不精だったのに,きっと私のために相当頑張ってくれていたんだと思う.

 

そんな5月後半,相手の両親が実家に帰った週があり,その期間は毎日会えるようになった.

実は,会おうとしない理由の一つが,両親に秘密にしていたからだった.

家に招かれて挨拶もしたことはあるが,学校で出会ったよい友だち,という体だったのである.

さて,一緒の空間にいるとそれまでのことが嘘のように,まるでお姫様のように扱ってくれた.

毎日会える嬉しさと相まって,この上なく幸せだった.

私も都市Aで仕事を見つけていれば,一緒に生活できれば,きっとこんなふうに幸せが続くんだろうと思った.

その頃,会社の同僚が一ヶ月間他の都市にいる彼女と過ごすためにリモートワークをしていたこともあり,いつか自分も同じことができるのでは,と勝手な未来を想像していた.

 

しかしこの間も,「遠距離」というワードはふたりの間でもやもやと霧のように漂っていた.

 

(続く,かも)